VOICE

住み始めから、20年後も快適な家

愛知県知立市 H様邸


Q.家づくりのきっかけは何でしたか?

ご主人様

建築士の偽装問題、姉歯事件*や欠陥住宅が注目を集めていた頃でした。
ニュースを見て、設計と監理もしてくれるところで家を建てたいと思ったのが始まりでした。

インターネットなどで調べるなかで、タバタ設計さんのページも見つけました。
当時、20年前は設計事務所でホームページを持っているところは少なくて、調べてもなかなか見つからなかったです。

いくつかの建築士、設計士の事務所に足を運びました。
そのうちのひとつがタバタ設計さんでした。

奥様

監理をしてほしかったので最初から設計事務所に、と考えていました。
設計士がいる工務店に依頼するのは嫌で、まるっとその人が責任を持って設計と監理もしてくれるところが良かったんです。

タバタ

設計と施工が同じ会社だと、万が一良くない事態になったとき、自分の会社の負担になるので「まあ大丈夫でしょう」と言って、見て見ぬふりをするところもある、と聞きます。
例えば大事な柱が入っていなかった、というような大ごとであれば大きな地震が来たら壊れてしまうので対処しないわけにはいかないけれど、軽微なことであれば図面と違っていても進めてしまう、ということもあるんです。


ご主人様


当時テレビ番組の『大改造!! 劇的ビフォーアフター』などで、壁を剥がしてみたらこうなっていた、という欠陥住宅を見て、危機感を持ちました。
それで、しっかりと監理をしてくれるところに頼もうと探したところ、タバタ設計さんが見つかりました。


タバタ


設計事務所は自分たちでは工事ができないので、図面を工務店さんに渡して、都度ちゃんとできているかチェックするのが責務、当たり前ですからね。


ご主人様


タバタ設計さんを選んだもう一つの理由が、複数の工事業社から見積もりを取って、入札をしていたことです。


タバタ


当時からホームページに入札すると謳っていたと思います。
工事業者を決めるのに、同じ図面をいくつかの建築会社、施工会社さんに渡して、「いくらでできますか」と見積もりを出してもらいます。
すると、かなり開きがあるんですよ。


ご主人様


安いところに施工してもらっても、 監理という工程があるので、安心です。


タバタ


もっとも、施工途中で潰れてしまうようなことがあってはならないので、全く知らない建築屋さんではなく、信頼できる、実績のある会社にお願いします。

工務店(施工会社)からしてみれば、設計事務所の監理物件は、自社でやるよりもはるかに大変で面倒くさいんです。
いちいち設計士が来て、「あそこの出来が悪い」とか、「イメージと違う」など、図面と違うところを指摘して、自分達の好きにできないですからね。

図面に載っていない、たとえばタイルの貼り方でも、「もう少しこうしたら」とか口を出すので、こだわる人が来ちゃったな、と思われるかもしれないけど、それが私たちの仕事です。


Q.家づくりはどのようにスタートしましたか?


ご主人様

設計事務所を探すことから始めました。
ただ、ハウスメーカーやハウジングセンターにも行きました。
実際に建っている家をいくつも見て少しずつイメージを膨らませました。


奥様


建てる場所は、 私の実家の土地であるここと決まっていました。
最初からハウスメーカーに建ててもらう気はなかったのですが、親戚の大工さんに建ててもらうことも考えました。


ご主人様


ただ親戚に頼むのは、監理をしっかりしてもらいたいという本来の意図、と真逆の選択になってしまうと考えたため、見送りました。


ご主人様


イメージが膨らんだところで、設計事務所さんに頼もうと動き始めました。


奥様


姉歯事件の影響が大きかったですね。
衝撃的でした。

当時は、「シックハウス」という言葉もよく耳にしました。
住宅に関する問題がいろいろ取り沙汰されていて、絶対に健康な住宅を作りたい、という思いがありました。
ハウスメーカーは選択肢にありませんでしたね。


ご主人様


だから木が多い家にしたかったんです。
F☆☆☆☆*(エフフォースター)がついている木材の。
Fに星が1個から4個までついているのですが、4つ星の安全な材料を使いたいと考えていました。


タバタ


今のアパートでも壁紙を剥がすと、悪いものを使っていることがあります。
アレルギーに敏感な人だと、部屋に入った瞬間に「うっ」となる。
接着剤や壁紙、その下のボードや床材にもシックハウスを引き起こす化学物質が使われていることがありますね。


奥様


とにかく健康な家を建てたい、という思いが大きかったです。


Q.タバタ設計をどのようにして知りましたか?


ご主人様

タバタ設計を知ったきっかけは、ホームページです。


Q.タバタ設計を選んだ理由は何ですか?


ご主人様


田端さんにお願いしようと思ったのは、信頼感、ですね。
事務所に行って、施工したところへ連れて行ってもらい、後日持ってきてくれた図面に、「これなら信頼できそうだな」と思いました。

それまでにハウスメーカーの図面を見ていたから、「こんな細かいところまでやってくれるんだ」と違いがはっきり分かりました。
枚数から全然違いましたしね。


タバタ


うちの進め方は、今も当時から変わっていません。
お客様が来られたら、「どんな家がいいですか」とあらゆることをすべて聞いて、それを図面化するんです。
なぜならハウスメーカーや、他の設計事務所に行っていて、見積もりまで出してもらってから来られる方もいるからです。
ハウスメーカーの全てを知っている上で来られた方には、そこを上回るなにか、プラスアルファがないと響かない。
うちにお願いしようと思っていただけないですからね。

4人家族ならリビングがあって、子供部屋が2つですね、というプランなら5分あればできるけれど、それじゃ面白くない。
だから「どんな趣味ですか」「将来どうしたいですか」まで聞いた上でご提案するんです。


ご主人様


他の設計事務所さんにも行ったけど、設計士さんのこだわりが強すぎて、「そういうんじゃないんだけど」ということもありました。

田端さんの場合は、1つ目の図面で「これだ」と思って、お任せすることにしました。


奥様


いろいろ聞いてくれたのがよかったです。
本当にすごく細かく聞かれました(笑)。


タバタ


聞かないとどんな家を設計したらいいかわからないから。
最初に、「いろいろ聞きますけれども…」と断りをいれて、あらゆることを聞きます。
「ちょっと嫌なことを聞きますけど、誰が掃除していますか」とか、「旦那さんは何をやりますか」とか聞きます。

例えば二世帯住宅を建てたいご家族なら、奥さん、旦那さんのどちらのご両親と暮らすかで話し方を変えます。
旦那さんのご両親の前では奥さんは「私はこうしたいです」とはなかなか言えないので、1人ずつ話を聞いたり、あとから聞いたりします。

Hさんのときも、さまざまな質問をして、こと細かに要望を聞きましたよね。
建てた後はどうしたいか、とかも聞いたと思います。


奥様


思いも寄らないことも聞かれました。
「ここはどうしますか?」
「考えていないし…」という感じでしたね。

私は順応して生きてしまうタイプなんです。
「これならこれでいいや」みたいなところがあったので、「こことここ離れているけど、どう思う?」と聞かれても、「そうですよね」って最初は。


タバタ


「こうしたい」と言われた要望に対して、図面上で、こことここの距離が遠いから、もっとくっつけた方がいいんじゃないか、と確認させてもらいます。
僕は図面を見れば頭の中で立体化されるけれど、お客様は平面図を見てもよく分からないと言われることが多いのでそうしています。


奥様


それまで2人でアパートに住んでいたので、不便な間取りでも、順応して暮らしていました。
「どこでも何でもOKです」みたいな感じでした。
でもこれから建てる家は規模感からまったく違うから想像がつかないし、田端さんからの質問に答えが見つからなかったんですね。

でも、将来的に事業をやる希望もあると伝えたら、どんな展開になっても対応できるようにと、いろいろ提案してくれました。
そうやって本当に細かく聞かれていくうちに、要望がだんだん出て、欲望?に気づくようになりました。


現在は親子教室に使われている部屋。安全な木材をふんだんに。天井は桧(ひのき)。

竣工当時の同部屋。自然塗料を施した木材が飴色に変化していった。


タバタ


アパートは間取りが決まっていて、それに合わせるように家具を買いますよね。
奥様が言われたみたいに、自分達が住まいに合わせようとする。

でもせっかく家を建てるなら、生活に合わせて建物を作る方がいい、と僕ら設計士は考えます。
だから、どういう生活をしているかを聞かないと描けない。

朝に洗濯する人もいれば、夜に洗濯機をかけて干す人もいる。
夫婦だからといって一緒に寝るとは限らないし、それぞれ部屋が必要な人もいる。
それを聞いていないと、寝室1つ、子供部屋2つという図面を描いてしまって、出したときに「うち、そんな生活してないし」となってしまいます。

だからそうならないよう、最初に前置きをした上で、いろいろ聞かせてもらいます。
要望を出してもらいながら、「こういう時はどうしますか」というのを確認していくんです。

奥様

こういう感じで作ってもらった家だから、今も全然不便を感じない。


ご主人様


20年経ってもね。

決め手になったのは、お会いして、そういうことを聞いてくれる会社なんだな、と思ったからですね。


Q.着工してから現場には行かれましたか?


ご主人様

設計士さんが監理してくれているし、と思っていたので、それほど多くは行きませんでしたが、10分ほどのところに住んでいたので時間が合ったときは行きました。


タバタ


着工してからの工務店との打ち合わせは、毎週何曜日の何時からと決めて、施主さんには時間がある時は来てください、という感じです。
工務店さんに週ごとの工程表を作ってもらい、それがちゃんと進んでいるかを監理しながら、現場で細かい打ち合わせをします。

お客さんに相談しないとどう進めたらいいか判断できないことも出てきます。
図面通りに進むことはなくて、いろいろ変わっていきます。
設計監理費用をもらっているんですから、お客さんの立場になって、お客さんからの「こうして欲しい」という要望をやるかやれないか判断します。
追加費用が出ないようにするにはどうしたらいいか、というのを、現場監督さんと一緒に考えたりもします。

例えば、コンセントをもう1個増やしたい、というのが後から出てきたとします。
工務店からすれば、契約にコンセント10個と書いてあるから、それが11個になったら、部品代と手間代がかかる、といいう言い分になります。
でもそこで僕たち設計士が、「細かい話すると、この材料減ったよね?」と交渉したりもします。
そういうやり取りも、僕たち設計士に任せてください。
臨機応変に、施工会社や工務店さんとこういったやり取りをするのが、僕らの仕事です。
工務店の方から、お客さんに直接「追加で1万円ちょうだいね」と言われるのとは、全然違うと思います。

Q.家づくりのテーマはありましたか?


杭の図面。長さの違うもの3種類を地盤に合わせて70本以上打ち込んだ。


奥様


健康な家。
ちょっと笑われると思うんですけど、「100年もつ家」をテーマにしていたんですよ。
100年住まないかもしれないけど、住むかもしれない、と。

地盤がとても悪くて。
元々この土地は田んぼで、その昔は沼だったと聞きました。
知った時は「うわ…」と思いました。


タバタ


地盤がかなり悪かったので、地盤補強の杭を相当数打ちました。
確か70〜80本だったと思います。
この土地の状況から、杭を打っての基礎工事になることは、ある程度予想できていましたが、詳しい本数は調査するまで分かりませんでした。

最初に1箇所だけ地盤調査を行い図面を作成しましたが、不安が残ったため調査箇所を増やして再調査したところ、地盤の強い箇所と弱い箇所があることがわかって、結局、3.5m、2.5m、1.5mの長さの異なる杭を打ち込みました。

今回のテーマが健康な家、100年もつ家、ということで、とにかく強い家を、というご要望でしたので、地盤改良についてご説明し、費用がかかることもお伝えしました。


ご主人様


詳細な説明を受けて、迷うことなく「お願いします」と答えました。
何よりも強い家を建てたかったので、必要な費用だ、仕方ないと考えました。
きっちりやってくださいとお伝えしました。


Q.家づくりでこだわった点は何ですか?


ご主人様

健康な家、ということですね。


奥様


建材や接着剤も全て自然なもの、シックハウスにならないような仕様でお願いしますとお願いしました。
木の指定は特にせず、お任せしました。
合板ではなく天然の木で、とか、集成材ではなく一枚板に、などを相談しました。


調湿・消臭効果に優れた珪藻土の壁(リビング)

廊下、階段には珪藻土クロスを使用

リビングの天井には調湿・消臭効果に定評のあるINAX(現LIXIL)のエコカラットを。


Q.家づくりで思い出に残ったことはどんなことですか?


奥様

住んでいたアパートに毎週、田端さんが来てくれて、そのたびに1時間ぐらい話をしたことですね。


ご主人様


毎週、設計図を持ってくるんですよ。
「壁紙はどれにしますか?」「ドアの鍵はどうしますか?」「ここはこれで」みたいに話して、1週間経ったら、変更した部分の新しい図面を持ってきて、また違うところについて「これはどうしますか?」と毎週、細かく話を聞いてくれました。


奥様


欲望を引き出してくれましたね。(笑)

それまでは順応型だった私でしたが、「ほぼ手入れをしなくていい家が良い」という要望を出すまでになりました。
田端さんに「本当にそれでいいですか」と何度も確認してもらって、「しょうがない」という思考が「そういうことができるんだ!」みたいに変わっていったんです。
順応型じゃなくてもいいんだ、とだんだん思えて、気づいたら欲望が叶った家が出来上がっていました。
ガルバリウムの外壁もこの20年、本当に手がかかっていないんですよ。


銘木店で誂えた、リビングの意匠柱。楓(かえで)丸太の床柱。


Q.住み心地はいかがですか?


奥様

快適で、何の不満もないです。
自然に動けている感じです。


ご主人様


ストレスがないんです。
設計の段階から、「こう動くからここにコンセントがほしいですよね」といった具体的な提案をしてくれました。
実際に住み始めて掃除をすると、そうそう、これのことだと思い出しました。

スムーズに動けて、引っかかり、無駄がない。
動きにしっくり来ている。
まさに、家が暮らす人の動きに合っている、私たちの生活スタイルにフィットしている、そういう感じですね。


隣家からの視線を考慮した窓(2階こども部屋)


家を建ててから生活に変化はありましたか?


奥様

新居に住みはじめて、良い意味で生活は別に変わらなかった。
最初から馴染む感じ、快適でしたね。

アパートの時は、すごくごちゃごちゃしていたけれど、それがなくなりました。
住まいが広くなって収納が増えたのもありますね。

広くなった分、たくさん体を動かさなければならなくなるという負担も感じませんでした。
行動力学っていうのかな、かっこよく言うと。
家事動線を考えて作られているから動きに無駄が出ない。

朝の準備、ご飯の用意、洗濯といった流れがスムーズで、広さを感じたことがないです。
ほんと、快適ですね。
褒めすぎかしら?
でも本当なんですよ。


H様ご家族。ご長男は独立され、暮らしは変化し続けている。

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